松の種子技術開発研究会
トップページへ 会の紹介 研究について 研究成果 体験談 お問い合わせ

トップページ > 研究成果 > 油(ピノレン酸)について

研究成果


■ピノレン酸とは

五葉松の種子だけに含まれる脂肪酸です。悪く思われがちな脂肪も、必要な栄養素です。いろいろな脂肪酸をバランス良く摂ることが大切ですが、現代食の問題はリノール酸の摂りすぎです。ピノレン酸を摂ることで、崩れたバランスを取り戻すことができます。

現在、ほとんどの植物油には「リノール酸」という脂肪酸が含まれます。脂肪の性質は、含まれている脂肪酸で決まりますが、一般のサラダ油やマヨネーズには、リノール酸という脂肪酸が使われています。リノール酸はn-6系の脂肪酸とされ、この主の脂肪酸を摂りすぎると、アレルギーを起こしやすくなったりコレステロールが過剰になったりと体にはよくありません。

そのほかのn-3系の脂肪酸は「体に良い油」とされており、有名なものには、青魚の「ドコサヘキサエン酸(DHA)」があります。

以上のように天然油脂には稀な不飽和脂肪酸。飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があり、
バランスが重要となってきます。。
また飽和脂肪酸が多すぎると、肥満・動脈硬化・高血圧を起こしやすくなります。

前のページへ戻る

■松の実だけに含まれる脂肪酸「ピノレン酸」


松の種子オイル(通称、松の実オイル)の分析・研究を始めたきっかけはひとつの偶然からでした。

数年前のある夏の日、取り引き先の社員と雑談してた折り、その人が「20年来、水虫に苦しんでいる」という話を持ち出しました。

見せてもらうと、足の5本の指が真っ赤にただれているではありませんか。もしかしたら効き目があるかもしれないと、松の種子オイルをすすめてみました。

その赤い部分に塗ったところ、何としたことか、ほとんど瞬時にカユミと痛みが消えてしまったのです。これは当人はもとより、私も大変驚きました。

松の種子オイルでカユミの取れることを「水虫の治療」から偶然に発見したわけですが、そうなると、このオイルの内容を何としてものぞいてみたくなるのが私の性分です。

それで日本食品分析センターの斉藤実常任顧問にお願いし、油脂研究では世界的に有名な広島大学の鹿山光農学博士(広島大学名誉教授・福山大学教授)を紹介してもらいました。こうした経緯で、松の種子オイルの成分が明らかにされました。



松の種子オイルには右の表の通り、パルミチン酸やステアリン酸、オレイン酸など各種の脂肪酸が含まれており、中でも注目すべきは表の上から6番目にある「オクタデカトリエン酸」。

この「オクタデカトリエン酸」は通常、リノレン酸と呼ばれるものです。松の種子オイル中のそれは特異的ということで、P-リノレン酸と新たな名前を付けましたが、今ではピノレン酸と称されています。P-リノレン酸の「P」は、松の英語、「パイン(PINE)」にちなんだものです。
松の種子オイルの脂肪酸

パルチミン酸 5.0%
ステアリン酸 2.3%
オレイン酸 27.3%
オクタデカジエン酸 1.9%
リノール酸 45.5%
オクタデカトリエン酸
(ピノレン酸)
14,7%
エイコセン酸 1.3%
エイコサトリエン酸 1.1%
その他 1.2%

そして、鹿山博士は「ピノレン酸は鎮痛効果を持つほか、解熱作用、抗炎症作用を持ちます。しかも、松の種子オイルには、アスピリンのような副作用は考えられません」と、その効力や特徴を指摘してくれたのです。

古来より、松の実は不老長寿の食べ物として語り継がれていますが、その秘密のひとつには、実の中に含まれる脂質部分にあるのではないかと、常々私は注目していました。鹿山博士の分析結果を見て、私はその思いをさらに強くしたのです。


前のページへ戻る

■ピノレン酸がアトピーのつらいカユミを止める


近年、アトピーやアレルギーに悩む人がこれほどまでに増加したのには、次のような背景が考えられるのではないでしょうか?

普段、私たちが用いている食用油の多くはリノール酸を多く含む油です。毎日の食卓に植物油を使った料理やマーガリン、ドレッシング、マヨネーズなど、どれかが乗らないことはないでしょう。

食用油脂の研究分野からも、「私たちの体には必須脂肪酸としてリノール酸も必要だが、リノール酸の過剰摂取のために、アトピー、アレルギー疾患が起きやすくなっている」と注目すべき実験結果が報告されています。

こうした、アトピー、アレルギー疾患の発症を抑えるひとつの手立てとして、過剰に摂取したリノール酸の代謝作用を抑制するように働きかけることが大切といえます。

それには、そうです。ピノレン酸です。

これについては、熊本大学学長、管野道広、福山大学の鹿山博士、田中先生の両氏によるの興味深いお話があります。

@松の種子オイルには、ピノレン酸と呼ばれる特殊な脂肪酸が含まれています。これはリノール酸をカユミの原因物質に変化させる「酵素」を抑える働きをします。

A松の種子のオイルを、アレルギーやアトピーでカユイ部分に垂らしてすり込んでみると、酵素作用はピノレン酸によって阻害され、リノール酸系統の脂肪は、痒みの原因物質に変化しません。

Bすり込まれたピノレン酸の方は異なった代謝の関係から、カユミの原因物質とはなりません。こうしたメカニズムにより、カユイ部分に松の種子オイルをよくすり込むと、カユミがおさまって行きます。


つまり、皮膚に刺激があると酵素が出て、皮膚組織に蓄積されている「リノール酸」に作用し、カユミ物質に変換します。ところが、皮膚に蓄積ピノレン酸の場合、「リノール酸」がカユミ物質に変換するのを防御してくれ、それ自体はカユミ物質に変化しません。

その点、松の種子オイルは副作用の心配がなく、安心して使うことができるのです。


前のページへ戻る  次のページへ進む 

トップページ
 > 研究成果 > 油(ピノレン酸)について



松の種子技術開発研究会